2017.09.15 お知らせ
こんにちは。獣医師の池田です。
今回は当院で行っている麻酔の話をしようと思います。
麻酔に関して常々気を付けていることは、
どうしたら麻酔をいかに安全に動物へ負担なくかけられるか、です。
人間でもそうですが、残念ながら麻酔に絶対安全というものはありません。
麻酔による事故死や深刻な後遺症が残ってしまったニュースも聞く中、
皆さまはきっと不安に感じることでしょう。
ましてや、人の言葉を話さない動物たちに麻酔をかけることはさらに不安だと思います。
私たち獣医師も不安がないわけではありません。
ただ、この不安や不確定要素によるリスクをできる限り少なくするために、事前の検査を様々行います。
まずは血液検査、レントゲン検査、心電図検査や血圧測定。
麻酔をかける仔の状態や、手術や処置の内容によってリスク評価を行い、麻酔の計画を立てます。
この麻酔のリスク評価にはアメリカ麻酔学会が出しているASA-PS分類という分類法にのっとっています。
獣医療においては主に以下のClass1~5の5段階で全身状態を評価しています。
皆さんが良くご存じの麻酔下手術である避妊や去勢手術においては、
若くて健康な子に行うことが一般的であるため、
術前検査で問題がなければClass1となります。
それに対し、心臓に疾患を持つ仔が脾臓腫瘍を取らなくてはならない、という場合には
おそらくClass3~5の評価となるでしょう。
このように客観的に評価することで危険度がわかりやすくなると思います。
ある論文での発表によると、Class1~2での麻酔関連での死亡率は0.1~0.2%でした。
要は、1000頭に1~2頭の死亡率となります。
これを多いと感じるか少ないと感じるかは意見の分かれるところだと思いますが、
できうる限り検査データを集め、正しい評価をして、
その評価を飼主様に「このくらいのリスクがあります」とお伝えすることが我々獣医師の義務だと思っています。
リスクを冒して麻酔をかけたり手術をするべきかの判断は、
結果で得られるメリットを踏まえて総合的に行うのです。
かなり難しい話になってしまいましたね。
当院では客観的な評価をもとにお任せいただける努力をいたしますので、ご安心頂ければと思います。